2012年08月28日
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なぜ郷土史なのか・なぜ日本史を語らないのかagain

Written By: 川俣 晶連絡先

日中、日韓危機 何がおきているのかより

2.自分たちの弱点であることを認識せよ

日韓、日中の間を裂くことが、いかに簡単であるか。

私らの仲が悪いことによって得するのは誰なのか。

「いいポイントだ」

「どうして?」

「漠然とした印象だけで言うと、歴史については話のスケールが大きくなればなるほど言い分が怪しくなるという印象がある。目の前の個人を語る行為はかなり具体的だが、国家や世界を語る行為はどんどん曖昧化、抽象化していって、具体性を失うケースが多い。もちろん、世界を股に掛けていつも飛び回っている人にはスケールの大きい話を語れるかもしれない。実際に現地に行って肌で感じることもあるだろうからね」

「だけど、家から1kmも滅多に離れない自宅警備員は、隣町のことすら語れるか怪しいと言うことだね」

「実際には自分が住んでいる場所すら語れないよ」

「ひ~」

「だからさ。自分が住んでいる場所すら語れない人間が日本や世界を語れるのか。肌で感じて知らない場所のことを語れるのかと言えば、それはとても怪しい」

「怪しいけど、語ってる人は多いよ」

「そこは、トンデモや詐欺の文脈で見る方がおそらく的確だろう」

「意味が良く分からないよ」

「つまり、あり得ないことを事実であるかのように信じさせる言論テクニックの話だ」

「えー」

「だから、誰かが信じさせたい何かがあり、それなりの言論術を持った人が情報の統制を担当すれば、意外と人の認識は自在に操れるということだ」

「それじゃみんなカモじゃん」

「カモだよ。ネットはカモの集団がネギを背負って騙されるのを待っているような環境だ」

「では、カモにならないためにはどうすれば良いのだい?」

「いきなり天下国家を語るのは嘘くさいので、とりあえず自分としては、自宅と最寄り駅の間ぐらいは語れるようになりたいと思って郷土史に手を出したわけだ。具体的に目の前にあるものの来歴を語るなら、少なくも目の前にある遺物と矛盾する語りは封じられる。そこで嘘がばれる」

「なるほど」

「もっともそれで問題クリアとはいかないけどね」

「それはなぜ?」

「目の前にある遺物の解釈すら揺れていて、1つに絞りきれないことが多い。そこにいろいろな嘘をこっそり入れていくという方法も有り得てしまう」

「ひ~」

「しかしまあ、そういうわけだから、郷土について知ることが取っかかりになると思って始めたのだが、未だにそこから脱却できない。それどころか深みにはまってさあ大変」

「大変なのか。ともかく現状をまとめてくれよ」

  • いかなる戦争にも反対する。(どうせ他の誰かの利益のための行いだ。自分への利益などありはしない)
  • 特に安い挑発に乗って安い戦争などするものではない (それこそ自分は子供ですと公言するような行為だ)
  • 土地の境界線は曖昧な部分があって当たり前。日本国内でもそういう場所がいくらでもある。国家間であっても当たり前。泣けてくるほど当たり前の日常的な問題であり、本来なら、戦争をするような大きな問題ではない (ここは『それを口実に戦争をしたい人たちがいる』と解釈すべき)

「そんなに曖昧なの?」

地図混乱地域という言葉を話題にしたばかりだろう」

「えー?」

「国家間なら混乱が無いと思ったら大間違いだぞ」

「なぜ混乱を解決しないのだい?」

「対立の火種だからな。残しておくと戦争を始める口実に使いやすい。隣接する国家に共闘させないためのクサビとしても有効だ」

「遠交近攻になるわけだね」

「だから、領土問題の言い分には双方共に怪しい要素が多く含まれるのが必然となる。それゆえに、相手がこんなにおかしなことを言っているとせせら笑っていると、相手も必然的に同じ事をしていることになる。論争の片方がおかしいからといって、別の一方が正しいという保証にはならない」

「どちらの主張にも疑って掛かるのが健全な批判能力ってことだね」

「しかし、その種の批判能力は今の日本からはどんどん失われているよ」

「本当に?」

「今の日本は内政の危機だ。そのタイミングで大きな外交問題が浮上するのは泣けてくるほど分かりやすいぞ。でも、誰もそこに疑問は入れてこないみたいだ」

「ひ~」

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